長崎に原爆が投下された8月9日にある長崎市の平和祈念式典で、「平和への誓い」を読み上げる被爆者代表が熊本市の工藤武子さん(85)に決まった。長崎県外在住者が選ばれたのは2人目。
工藤さんは7歳の時、爆心地から3キロの自宅で被爆。一緒にいた母や、きょうだい3人、親戚を探して爆心地付近に入った父は、その後がんを患い、亡くなった。
2008年、被爆者が世界各地で体験を語るピースボートの「証言の航海」に参加。その後、熊本で県内の被爆2世と共に紙芝居「長崎原爆被害のお話」を製作した。熊本県原爆被害者団体協議会理事を務め、現在も学校などで講演を続けている。
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が17年にノーベル平和賞を受賞した際、サーロー節子さんのスピーチに心を動かされた。以来「平和への誓い」に応募し続けてきたという。工藤さんは「緊迫した国際情勢で、核兵器廃絶を訴えるのが大事な時。核兵器は(被爆者を)生涯にわたって苦しめる非人道性のある兵器だと伝えたい」と話した。
代表者選定審査会長の調漸(すすむ)・長崎平和推進協会理事長(67)は選定理由について、「明確な訴えがあり、若い世代へのアプローチも豊富。今年の平和への誓いにふさわしい」と話した。(寺島笑花)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル